医療最前線●がん治療●医療最前線 がん治療● 読売新聞 西部本社版 6月26日掲載分を転載 「がん治療における 化学療法の進歩」について 塚田先生に聞く
有効性の高い抗がん剤が 次々に登場 ――がんの化学療法に新しい風が吹いていますね。 塚田 有効性の高い新しい抗がん剤が次々に登場しています。 例えば抗がん剤だけで治療する白血病などの血液がんの場合、私が医師になった頃は5%といわれていた5年生存率がいま40〜50%に上がっています。 一方、大腸がんや乳がんなどの固形がんは抗がん剤だけでは治せませんが、手術後の再発予防や、手術を小さく済ませられるよう手術前にがんを縮小させるために使われています。 特に乳がん手術で乳房を温存するには、手術前の化学療法が有効です。 そのほか手術後にがんが再発すれば以前は手立てがないとされましたが、抗がん剤で拡大を抑え、あわよくば縮小させて生存期間を延長することが可能で、化学療法はがん治療にかなりの寄与をしています。 進化する抗がん剤 新薬の「分子標的薬」開発 ――新しい薬には分子標的薬も登場していますが。 塚田 広い意味の抗がん剤で、がん細胞だけを攻撃する目的で開発された新しい考え方の治療薬です。 従来の抗がん剤は細胞毒ともいわれ、正常細胞も攻撃しました。その結果として起きるのが、免疫力の低下や脱毛、吐き気、下痢などの副作用です。これに対して分子標的薬はそれぞれのがん細胞に特異な分子を見つけ、それだけを攻撃する薬です。副作用はかなり軽減されています。 標的となる分子はがんの種類によって異なり、いまそれぞれに対応する薬が盛んに開発されています。現在、大腸がん、乳がん、血液がんなどでは抗がん剤と併用し、上乗せ効果を出す使い方がされています。まだ特効薬とまではいえないものの、21世紀の化学が作り出した薬として大変有望視される分野です。 支持療法と呼ばれる 副作用の緩和法 ――副作用の緩和法もいろいろあるようですが。 塚田 吐き気には制吐剤、免疫力低下には白血球の減少を抑える薬などがよく使われます。副作用は抗がん剤により異なるので、心臓や神経に出る副作用、アレルギーや下痢など、個別的対応することになります。 これらのケアは支持療法と呼ばれ、私たちがん化学療法の専門医は治療効果の高い抗がん剤の選択と、副作用を抑える薬の選択の双方でベストを尽くす役目を担っています。脱毛には現在のところ有効な対策がありません。かつらの展示コーナーを設けるなど、治療中の十分なQOLの向上に努めるためスタッフ一同が配慮しています。
患者さんの要望が高い 外来の抗がん剤治療 ――センターの外来抗がん剤治療は、入院しての治療効果と差はありますか。 塚田 まず強い副作用の出る薬で治療する時は必ず入院していただきます。患者さんはみんな外来希望なんですね。そして決まって「外来では抗がん剤のレベルが下がりませんか」という質問を受けます。 私たちの病院では、治療効果に差がついてはいけないので、外来でも治療内容は変えていません。ただ、副作用対策などで行き届いた支援をすることを基本スタンスとしています。また同様のやり方で入院期間短縮にも応じています。数年前までは抗がん剤治療は必ず入院でした。現在は外来が半数以上です。 これによって、患者さんは通勤、通学や家事も可能になりました。QOLは向上し、医療費の抑制をめざす国の方針とも一致します。社会的ニーズに応えているのではないかと考えています。 治療に「抗がん剤」と「手術」と 「放射線治療」の組合せ ――手術や放射線治療との組み合わせの考え方はいかがですか。 塚田 がんの種類によって違ってきます。固形がんは手術が主体ですし、血液がんは抗がん剤ですね。 そして、固形がんの手術はうまくいっても再発や転移を防ぐために化学療法をするのが普通だし、必要に応じて放射線治療も行います。 抗がん剤と放射線を併用して再発率が下がり、手術範囲も小さくできる例が出てきています。しかも新しい薬が次々に出てくるので、3つの治療法を有効に併用していくことが今後の課題です。
診療科を越えて治療の均てん化 化学療法センターの開設 ――産業医科大学が化学療法センターを設置した背景と目標をご紹介下さい。 塚田 わが国のがん治療は欧米に比べて化学療法の体制が著しく立ち遅れ、抗がん剤治療を専門とするオンコロジスト(腫瘍医)はアメリカの約1万人に対し数百人という状況でした。 そこで昨年閣議決定されたがん対策推進基本計画は化学療法の推進とそれを専門的に行う医師の育成を打ち出し、NPO法人日本臨床腫瘍学会もがん薬物療法専門医の認定を進めています。 化学療法センターはこうした流れを先取りしたもので、平成17年4月にスタートしました。目的は、院内で診療科別に行われている化学療法の集約と、抗がん剤治療に関してサジェッションなどができる専門機能です。 これによって、診療科や医師によって異なった抗がん剤治療が均てん化できますし、専門的な相談に応じることができます。 適切な抗がん剤治療を受けたいという患者さんの要望は切実で、外来化学療法は3年前の発足時の月150人から現在では400人以上増え、地域のセンターとなっています。 さらに今後は、このシステムを地域内にも拡大できればと考えています。 例えば、軽い吐き気を止める薬をもらうのに大学病院まで行かなければいけないのか。理想論として、身近な開業医でも処方できるような形が望まれます。 そのためにさまざまな病病連携、病診連携を強め、情報発信をして行きます。 がん拠点病院として近く県内の病診連携会議を開きますし、ホームページも開設しました。そのためにまず、当センターで高いレベルの化学療法のシステムを確立したいと考えています。また、これを大学病院として地域に還元し、医学教育にも役立ちたいと考えます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ がん薬物療法専門医による 安心できる治療の確立を目指して
2008/06/26(00:09) カテゴリ:医療 コメント(4) | トラックバック(0)
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この記事に対するコメント
マンガや、ドラマの世界だけかと思っていましたよ。身近に抗がん剤を利用している人がいないので勉強になりました。
3人に1人がガンの時代。
でも、いまガンは種類によっては助かる病気になってるそうです。
但し、病院と先生を選ばないといけないですね。
ボケるよりガンになるほうがマシです。安楽死法を速く決めてほしいです。
やっぱり抗がん剤って禿げるの?
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