アルツハイマー病治療最前線
アルツハイマー病治療 最前線 ● 読売新聞 西部本社版 6月28日掲載分を転載
早期診断、早期治療開始が有効〈吉良先生〉
九州大学 ブレインセンター長/
地域医療連携センター長
九州大学大学院医学研究院 脳神経病研究施設
九州大学病院 神経内科教授
吉良 潤一先生
病気の元を直接絶つために〈瀬戸先生〉

社団法人福岡県医師会理事 認知症サポート医
ゆう心と体のクリニック 院長 医学博士
瀬戸 裕司 先生
長寿社会を生きる高齢者や家族にとって一番不安な病気の一つが認知症だが、
高齢化の進行とともにとりわけ治療が困難とされてきたアルツハイマー病が増加し、
認知症の半分以上を占めるようになった。
しかし近年、原因解明が急進展、根本療法の新薬が登場し始め患者や
家族の支援体制も拡充されてきた。
そこで九州大学大学院神経内科教授・吉良潤一氏と
福岡県医師会理事・瀬戸裕司氏にご登場いただき、この病気の治療の最前線と、
日ごろ望まれる予防のあり方などを語ってもらった。
認知症患者の半数が
アルツハイマー病
――アルツハイマー病が増えているそうですね。現状をお聞かせ下さい。
瀬戸 わが国の認知症の患者さんは約200万人といわれ、そのうち半分以上がアルツハイマー病と推定されています。
吉良 認知症は65歳以上のほぼ10人に1人に発症し、半数以上がアルツハイマー病でその割合が増えています。第一の要因は加齢なので高齢化ともに増加している状況です。
――アルツハイマー病はなぜ起きるのですか。
瀬戸 アミロイドβたんぱくが脳に付着して脳細胞を変性させるため起きると考えられています。最近の研究で、βアミロイドの沈着は物忘れなどの症状が出る10年以上も前から始まっていることが分かってきました。
吉良 診断は画像診断のほかに、血液や脳脊髄液の検査でもできます。髄液検査は髄液中のβアミロイドの値の低下を調べます。脳アミロイド画像検査は、脳内におけるβアミロイドの凝集を知る方法です。まだ臨床では使われていませんが、症状が出る前に診断できる先進的診断法です。
副作用の少ない
ターゲット治療薬の開発
――症状の特徴はいかがですか。
瀬戸 進行段階は1期〜3期などの分け方がありますが、症状の一般的特徴は物忘れです。ただ臨床現場からいえば、意欲の低下、生きいきしたところが感じられなくなったなど、雰囲気の変化が先に起きます。
吉良 年を取ればだれでも物忘れは多くなりますが、アルツハイマー病は日常生活で重要なことをすっぽり忘れるのが特徴です。血管性認知症ではうつ症状が出たりしますが、アルツハイマー型は楽天的な生活の中で物忘れが強く出ます。
瀬戸 アルツハイマー病の場合は電話の内容を忘れたではなく、電話をした行為自体を忘れるような物忘れです。食事したのを忘れるのもそうですね。
――では、治療はどのように行われていますか。
瀬戸 非薬物療法には以前から回想法がありました。最近は自分がいる場所や日付などを認識するリアリティオリエンテーション(RO)、
介護保険のデイサービスで実施する作業療法的なケアも行われています。
高齢者は様々な不安感を解消することが大切です。
一方、薬物治療は、昔は何もないといわれましたが、近年、アミロイドをターゲットとする治療薬の研究開発が進んでいます。
吉良 現在の薬による治療は一般にアリセプト(成分名は塩酸ドネペジル)が使われています。これは脳内の神経伝達物質アセチルコリンを壊すアセチルコリンエステラーゼを阻害する薬で、副作用も少なくかなり効く薬です。ただし、ほかの認知症には効果がないので、投与前の正確な診断が必要です。
根本療法の最前線では、アルツハイマー病ワクチンなどが開発されています。これはβアミロイドの結合を防ぐ免疫の働きに着目して体内で抗体をつくり、アミロイドの固まりを分解する治療で、非常に有効です。6%〜10%の割合で脳炎などの副作用を伴うためいま治験が中止されていますが、この病気の発症メカニズムはかなり解明されたので、今後の安全・無害化の研究が期待されます。
瀬戸 夢の実現は近づいていると思います。
適度に学習刺激と、
メタボ解消にも役立つ日々の運動
――一方、予防にはどんなことが必要ですか。
瀬戸 アルツハイマー病の危険因子には頭部打撲、過剰飲酒、動脈硬化、高脂血症、ストレス、遺伝的要因などがあります。まずそうした因子を減らし、適度に頭を使い、健やかな気持ちで過ごすことです。頑固で融通が利かない生真面目な人は3倍も発症率が高いとされます。
吉良 1日1時間以上ウオーキングなどをする人は運動しない人より発症が少ないといわれます。メタボリックシンドロームで高血圧、高脂血症の人はアルツハイマー病の発症率が高いので、メタボ解消のためにも運動が望まれます。
また年は取ってもいろいろ新しい学習などにチャレンジすることは、予防につながります。
早期に診断が最大の予防
病状緩和や認知症治癒も
――アルツハイマー病の介護が家族の大きな負担になっています。どこに相談したらいいでしょうか。
瀬戸 専門的な医療機関がありますし、介護保険のいろいろなサービスも出てきました。家庭で抱え込まずに、これらの社会的資源を活用してほしいですね。
国も認知症高齢者を早期から支援するため、専門のサポート医とかかりつけ医の連携、地域包括支援センター構想を進めています。
これは身近なかかりつけ医の段階で患者さんの認知症に気づいてもらうため、県から認知症サポート医を委託された精神科などの専門医がかかりつけ医の認知症対応力を向上させる研修などを行う事業です。
県では昨年14人のサポート医を認定、355人のかかりつけ医が研修を受けました。その名簿は市町村に設置された地域包括支援センターで分かります。
吉良 認知症が心配な人はそのセンターや保健所、福祉窓口、地元医師会などへ行けば、相談できます。そして必要に応じて専門機関で診断を受け、治療や介護サービスを受けるという流れになります。
瀬戸 認知症は早く気づき、気づいたら確かな診断を受けることが重要です。高齢者は物忘れが始まると不安になり、その不安感が症状を悪化させる悪循環を招きます。ぜひ早めの受診をお勧めします。
吉良 現代医学はアルツハイマー病の症状を緩和できますし、治る認知症もあります。その機会を逃さないでいただきたいですね。
――大変有用なお話、ありがとうございました。
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●アルツハイマー病治療について お問い合わせは
○福岡聖恵病院
古賀市鹿部482 TEL 092-942-6181
http://www.megumi-kai.or.jp
○松岡病院
久留米市安武町住吉1766 TEL 0942-26-2151
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○堤病院
北九州市小倉南区大字堀越358番地 TEL 093-962-1950
○中村病院
福岡市南区老司3丁目33-1 TEL 092-565-5331
http://www.sowa-nakamura.or.jp
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2008/06/27(17:34) カテゴリ:
医療 コメント(3) | トラックバック(0)
この記事に対するコメント
最近、物忘れがひどくなってきたんですが、若年性ってやつでしょうか?医者に行った方がよいのでしょうか?
アルツハイマー病何度かテレビで見ました。恐ろしい病気なんですね。名前はなんかカッコいい響きなのに…。
早く治療薬の完成が心より待たれます。って待ってる事を忘れた日にはアルツハイマーになってること?
こわ〜!
北九州は独り身のご老人が生活援助を受けれないと聞いた事があります。
そんな方がアルツハイマー病なんかになったら誰が面倒を見るんでしょうか?
明日は我が身の様な時代なんで心配です。
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